腰椎疾患

腰椎疾患

腰椎椎間板ヘルニア

せぼねとせぼねの間には、椎間板と呼ばれるゴムの板のようなものがあり、真ん中に髄核(ずいかく)と呼ばれるゼリー状のものがあります。

20歳を過ぎた位から椎間板は老化してくるのですが、老化すると古くなったゴムのようにひび割れをおこします。そして、その髄核が何かの拍子にひび割れを通って飛び出してくることがあり、この状態が腰椎椎間板ヘルニアです。

症状

腰椎の後ろには足やふくらはぎ、ふとももや骨盤にいく神経がはしっていますので、

    1. 足やふくらはぎ、ふとももに痛みやしびれが起きる。
    2. 足や膝に力が入りづらくなる。
    3. 尿や便が出づらくなる(またはもらしてしまう)。

診断

問診→診察→腰椎のレントゲン撮影を行い、椎間板ヘルニアが疑われる患者さんに対してはMRI検査を行います。

  • ※椎間板や神経はレントゲンでは写りません。
  • ※MRI検査は完全予約制です。
腰椎椎間板ヘルニア
下肢伸展挙上(SLR)テスト

腰痛、下肢痛の部位、間歇跛行、膀胱直腸障害の有無など、注意深く問診します。

腱反射、病的反射、感覚・筋力の評価など、神経症状をしっかりと把握しなければなりません。※そのため、SLRテスト等を行います。

当院では特別な撮影方法を実施しておりますので、他院で撮影された画像をご持参いただいた場合でも必要に応じて当院にて再度撮影させていただくことがございます。

治療

通常は下記のように保存療法(手術以外の治療)から開始します。

【理由】

    1. 自然に治る患者さんが多い。
      ※症状が出現してから約80%の方が3ヶ月程度で治癒されています。
    2. 手術をしても再発して再手術になる場合があります。
      ※再手術が必要になる方は3%程度です。

【例外】

足や膝に力が入りづらく、どんどん悪化していく場合や尿や大便の排泄に異常が出てきた場合には手術を行います。

【痛みが強い時】

    • 安静、コルセットの装着を心がける。
    • 消炎鎮痛剤の内服や坐薬、神経根ブロックを行い、痛みをやわらげる。
    • 腰を温める。

【痛みが軽い時】

    • 運動療法を行う。
  • ※症状が改善しない場合には、手術療法を行います。
    当院では、脊椎内視鏡下手術を積極的に行っており、良好な手術成績を収めています。

腰部脊柱管狭窄症

「腰部」にある「脊柱管(せきちゅうかん)」という神経の通り道が狭くなり、その中で脚に向かう神経が圧迫された結果、臀部(お尻のあたり)や下肢(脚)に痛みやしびれ等の症状を来すようになります。

特徴

もっとも特徴的な症状は、歩くと下肢痛やしびれが生じ、休むと改善するが再び歩くと症状が生じる間歇性跛行です。

長い距離を続けて歩くことができません。

狭窄症の症状は馬尾や神経根の血流障害により生じるため、痛みやしびれは脊柱管が広くなる前傾姿勢では軽減し、脊柱管が狭くなる立位や伸展姿勢で増強します。

座って乗る自転車は痛みが起こりにくい。

症状

馬尾型

脊柱管内を通る神経の束の馬尾が圧迫される。

    1. 両下肢にしびれが起きる。
    2. だるさやふらつきが生じる。
    3. 頻尿、残尿感、便秘等の膀胱障害が生じる。
神経根型
    1. 馬尾から分かれた神経の根元が圧迫される。
    2. 下肢痛が主訴となる。
混合型
    1. 馬尾型と神経根型が混在している。
    2. 両者を合わせた症状がある。

診断

外来では問診に加えて、実際に腰を反った時に症状が出るのか、どの部位に出るのか、筋力低下はないか等を確認をします。狭窄の部位についてはレントゲン、CT、MRI検査等を行いますが、これらの検査で狭窄が見つかったからといって、必ずしも症状の原因であるとは限りません。

手術を考慮する必要がある場合には、神経根ブロックといって、たくさんある神経のうち1本だけに注射をして症状の変化を確認したり、下肢の末梢神経を電気刺激してその反応から手術が必要な部位を確認する場合もあります。

治療

通常、リハビリテーション、コルセット、神経ブロックや脊髄の神経の血行をよくする薬等の保存療法(手術以外の治療)から開始します。

下肢の麻痺(力が入らないこと)が進行するものや、膀胱直腸障害(尿や便を出しづらくなる)が進行するものについては、早期の手術を考えます。
それ以外の場合は、手術に関しては患者さんと相談の上で決定します。
つまり、「腰部脊柱管狭窄症の症状のために、自分のやりたいことができない。手術で改善するのであれば、考えてみよう。」という方は、手術の対象となるかを考慮することになります。

ガンの手術の様に「救命」が目的の手術というのではなく、腰部脊柱管狭窄症の手術は「生活の質:quality of life(QOL)」改善が目的の手術といえます。

脊柱管の狭窄の原因として、腰椎の変形やすべりによる影響が大きい場合には固定術を考慮することもありますが、下肢症状が中心の患者さんの場合には、当院ではそのほとんどが脊椎内視鏡手術での対応が可能です。

当科には日本整形外科学会脊椎内視鏡下手術技術認定医が4名在籍していますので、他院では施行困難な複数箇所の内視鏡手術を、複数の術者が担当することで1回の手術で済ませることも可能です(タンデム手術)。

タンデム手術については・・・

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