関節外科【肩関節】

関節外科【肩関節】

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肩関節は、上腕骨と肩甲骨で構成されており、受け皿が小さく、骨同士の接触面が少ないため、色々な方向によく動く分、不安定な関節とも言われます。その不安定さを補うため、関節唇(かんせつしん)や関節包(かんせつほう)と呼ばれる周りの組織で支えられています。

痛みの原因は、何らかの原因により関節に炎症がおこる関節炎によるものや肩関節の構造の損傷によるものが多く、年齢、力仕事、スポーツに限らず、日常生活でのどの動作でも起こり得ます。そのため、日頃から適度な運動を心がけ、肩関節や周りの筋肉が硬くならないよう予防しましょう。

ひどくなると夜に痛みで眠れなかったり、腕が上がらないために日常生活の様々な場面で支障をきたすことがありますので、早期治療を心がけて下さい。

五十肩(肩関節周囲炎)

症状

年齢とともに肩関節の周りの筋肉が硬くなってしまうため、特にはっきりとした原因がないにも関わらず、肩周りが痛くなり、徐々に腕が上がらなくなってしまい、反対の手で支えてあげても、腕を持ち上げることができなくなります。

診断

レントゲン

変性の程度、不安定性を確認します。

MRI

腱板断裂や反復性肩関節前方脱臼における関節唇損傷の診断や鑑別などに非常に有用です。
※MRI検査は完全予約制です。

治療

炎症期(痛みがとても強い時期)

痛みが強いため、関節内注射や痛み止めで積極的に痛みを取り除き、理学療法士の管理のもと、運動療法やストレッチを徐々に行います。

拘縮期(肩周りの動きが硬くなる時期)

強い痛みがやわらいだ後、肩の動きが悪くなってきて、日常生活の動作に不自由を感じることが多くなります。積極的な運動療法により、肩関節の動きを広げていきます。

回復期(症状が回復してくる時期)

運動時の痛みや運動制限が次第に改善する時期です。
積極的なリハビリを行うことで、肩の動きの回復が早くなります。
理学療法士の指導のもと、肩甲骨を安定させるトレーニングに合わせ、患者さんの生活環境に合わせた訓練を行っていきます。

リハビリを行っても改善がみられない場合や改善に時間がかかる場合があり、関節包(かんせつほう)と呼ばれる肩関節を包む組織がリハビリでは伸ばせないほどカチカチに固まり、厚くなっていることが原因と考えられます。この場合、神経ブロック下授動術という治療をお勧めしています。

但し、骨折などの外傷や肩関節の手術後に生じた関節拘縮など、正常組織を損傷してしまう恐れが高いと判断する場合は、関節鏡を使った手術が必要になることがあります。

反復性肩関節脱臼

症状

転倒して手をついたり、スポーツで肩に大きな力が加わると骨や関節唇が剥がれてしまい、肩関節が脱臼します。安静にしていてもうまく治らず、何度も脱臼を繰り返してしまうことがあります。

ラグビーなどのコンタクトスポーツでは接触の度に脱臼したり、症状がひどくなると、日常生活のふとした拍子にでも不安感を覚えたり、脱臼してしまうことがあります。
10~20歳代の場合、一度脱臼すると約80%の方が脱臼を繰り返すとも言われています。

診断

これまでに何度脱臼したか、日常やスポーツ活動のどのような場面で脱臼することが多いかが治療法を決定するポイントになります。

CT

変性の程度、不安定性を確認します。

MRI

腱板断裂や反復性肩関節前方脱臼における関節唇損傷の診断や鑑別などに非常に有用です。
※MRI検査は完全予約制です。

治療

リハビリテーションで肩の周りの筋肉を強化しても外力が加わったり、ふとした拍子に脱臼してしまうことが多い場合は完治は困難です。
日常生活やスポーツ活動で支障がある場合は、手術加療が必要になります。

腱板断裂

症状

腱板といわれる肩関節のインナーマッスルの断裂により、腕を上げたり下ろしたりする時に痛みます。
年齢をともに腱板が傷んでくることが多く、そこに転倒して手をつくなど軽微な外傷が加わることで断裂が生じます。

ものを持ち上げたり、車の後部座席のものをとったり、犬の散歩中に引っ張られたりして受傷することもあり、症状が強い時には腕をあげられなかったり、夜に疼いて眠れないこともあります。

診断

腕を持ち上げられるか、上げたり下ろしたりの際に痛みないか、力強く腕を上げられるかを確認し、疑わしければレントゲン・MRIで検査を行います。

※五十肩(肩関節周囲炎)とは異なり、肩が固まってしまうことは少なく、痛みをこらえて反対の手で支えてあげれば、万歳できることが多いのが特徴です。

CT

変性の程度、不安定性を確認します。

MRI

腱板断裂や反復性肩関節前方脱臼における関節唇損傷の診断や鑑別などに非常に有用です。
※MRI検査は完全予約制です。

治療

年齢を重ねるにつれて、日常生活での支障はないものの腱板が切れている方は少なくありません。一時的に、痛みが出ても、痛みの管理・使い方の工夫でうまく付き合っていくことも可能ですが、腕を使い過ぎたり、再び怪我をした時に病状が悪化することもありますので注意しましょう。

痛みが強い時は、炎症を抑える注射や内服薬で痛みを取り除き、徐々に肩や肩の周りの筋肉のこわばりの予防を含め、リハビリテーションを行います。

日常生活やスポーツ活動で支障がある場合は、手術加療が必要になります。

腱板断裂性関節症

症状

“腱板断裂”の状態が長期間続くと、腱板が痩せてしまい、肩関節の骨も変形することがあり、その場合は修復できない可能性や修復術をしても再断裂する可能性が高くなります。

  1. 自分では思うように肩を上げられない。
  2. 肩を動かすとごりごとりと音がする。

診断

腱板が断裂して上腕骨や関節窩の変形がしているかを確認するため、レントゲン・MRIで検査を行います。

レントゲン

変性の程度、不安定性を確認します。

MRI

腱板断裂や反復性肩関節前方脱臼における関節唇損傷の診断や鑑別などに非常に有用です。
※MRI検査は完全予約制です。

治療

痛みが強い時は、炎症を抑える注射や内服薬で痛みを取り除き、徐々に肩や肩の周りの筋肉のこわばりの予防を含め、リハビリテーションを行います。

それでも痛みが強く、腕を持ち上げられない場合には、リバース型肩人工関節という人工関節置換術をご提案いたします。

当科では、運動療法、薬物療法、リハビリテーションで治療を行い、それでも改善が困難な場合は手術加療をご提案いたします。

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